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リハビリの夜
また少し間が空いてしまいました!
マーメイドセラピーの4回目を受けてから、今もって変化する身体を観察中なので、今日は面白い本を紹介したいと思います。

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「リハビリの夜」 著:熊谷 晋一郎 (医学書院)

著者は現役の小児科医にして、脳性まひのある障害者。
彼が子どもの時に受けたリハビリの体験から、身体感覚を通しての自分と世界との関係、自分と他者との関係、自分と自分との関係について語っている本です。

週刊文春で中村うさぎさんが「面白かった!」と感想を書いていたので、ソッコーで図書館にリクエストして読みました。ちなみに中村うさぎさんは、自意識が強すぎるあまりに行動がぎこちなくなってしまう自分を、この著者に重ねています。

著者はこの本の中で、脳性まひである自分の身体の状態は、相手(トレイナーや補助してくれる人)の心理状態をそのまま映す、と語っています。

それは3段階に分かれているらしく・・・


1「ほどきつつ拾い合う関係
相手が自分に同調して動いてくれる状態。彼はここでは完全に相手に身体をゆだねて、心地よい安心感の中で動くことができます。相手との信頼関係がしっかりできていて、身体がほどけている状態です。

2「まなざし/まなざされる関係
トレイナーが厳しい態度で接してきたり、距離をおいて指示を出してきている状態。相手に監視されているという強い緊張感の中で、彼の身体はどんどん萎縮し、相手のまなざしを感じれば感じるほどに動けなくなります。

3「加害/被害関係
2の状態で恐怖が最高潮になると、著者の身体の動きは完全にバラバラになり、もはや動けなくなります。リハビリはそこで中断されますが、著者は敗北感でいっぱいの状態で、それを著者は自ら「見捨てられる私」と呼んでいます。


まず、脳性まひの方の生活って、「こんな風なんだ!」と目からウロコがポロポロと。もちろん障害の度合いや部位によっても、事情はちがうと思いますが。




1の「ほどきつつ拾い合う関係」は、まさにマーメイドセラピーやトレガーアプローチで行われていること! 完全に身体をゆるめるために、緊張させない、強い力も加えない、イヤな動きはしない・・・それはイコール、私という人間にピッタリとよりそう動き。心理的には、完全な味方を得たような感じです。羊水に浸っているような。

2は他者のまなざしとして書かれていますが、同時に自分のまなざしでもあるわけです。「こんなことしたら笑われるんじゃないか」「うまくできなかったら怒られるんじゃないか」と、どんどん萎縮してしまう。羊水から、ぽんと社会に放り出された状態。私たちの日常にも、こういう場面はしょっちゅう出てきます。

で、中村うさぎさんと同じく私の中にも、「他者の目を気にしすぎて動けない自分」がいます。そんなこと考えもせず、すいすい動けるときもありますが、調子が悪いときなんかはもうダメです。今日の自分の声のトーンは変なんじゃないか、今日の服装おかしいって思われないだろうか。こんなこと言ったら嫌われやしないだろうか、ここででしゃばるのやめておこうか、etc etc・・・・・。

でも大部分の女性は、多かれ少なかれこういう気持ちは持っているものですよね。それは女性が基本的に「相手にゆだねる性」であると同時に、「見られる性」でもあるからだと思います。女である以上、見た目問題からは離れられない(最近は男性でもその傾向にありますが)。完璧主義の人の場合はその傾向がさらに強くなります。(ちなみにこの本の中で、「相手に身体をゆだねることで著者が感じた官能」というものが出てくるのですが、これはもう完全に女性的なスタンスですね)

で、日常生活で少しずつ、また少しずつ積もったこういうストレスが、身体の自由な動きを阻んでいるわけですよね〜。

つきつめて考えると、これって「相手を信頼できない」「自分を信頼できない」ひいては「世界を信頼できない」ということなのではないかという気がします。

著者も「世界と自分がつながっていない状態」と表現してますが、緊張状態って、恐怖感から生まれるものですよね。「ちゃんとしていなきゃいけない」と身体をこわばらせることは、軍隊的な「支配/非支配」の構造でもあると思います。そういう気持ちが強くて緊張しやすい人は、きっと自分の中に鬼軍曹がいるんだと思います。中村うさぎさんとか、私とか(笑)

このへんのことに関してはいくらでもほじくれそうなので、これ以上は書きませんが、心理や身体の関係について興味ある人は、読んでみても損はない本です! いや損しないどころか、ボディワークにかかわっている人、興味のある人は必読です!!

こちらのサイトにはいろんな人の書評や、著者のメッセージの動画ものっています。参考までに。
医学書院 「リハビリの夜」
by aomisa | 2010-04-11 04:39 | 美容・健康トーク
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